新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)
衛星データで現地調査を変化の大きい場所に絞る技術をNEDOが募集
NEDOは、衛星画像を見せるだけでなく、広域のインフラから変化の大きい場所を絞り、現地調査や災害対応につなげる技術の公募を始めた。衛星が現地確認をすべて代替するわけではないが、精度や費用、業務への接続を満たせば、限られた人手を本当に確認すべき場所へ集中できる。
日本では、インフラの老朽化が進み、点検や維持管理を担う人も足りない。人口が減り、地域に人が偏る一方で、災害は激しく、起きる回数も増えている。広い地域にある道路や橋、河川、斜面を、現地に人を送って一つずつ確認し続けるのは簡単ではない。
そこでNEDOは2026年7月15日、衛星データを都市インフラの点検や防災に使う具体的な方法を競わせる公募を始めた。これは衛星画像を集めるだけの募集ではない。広い範囲を調べ、変化がありそうな場所を絞り、現地の確認や復旧の判断につなげる仕組みを探すものだ。
衛星だけでは見えない
衛星は、広い範囲を同じ方法で繰り返し観測できる。そのため、前に見た状態と比べて変化の大きい地点を選ぶのに向いている。すべての場所を同じように巡回する代わりに、まず地図の上で注意すべき場所を絞り込むイメージだ。
ただし、衛星には限界もある。観測できる回数、雲などの天気、細かさ、撮影する時刻が利用を制約する。近くからの目視や現地計測を、いつでも置き換えられるわけではない。価値が出るのは画像そのものではなく、異常の候補を点検の発注や保全の判断、復旧計画へつなげられたときである。
公募が競わせるもの
テーマ1では、インフラ構造物の劣化や周辺状況の監視、3D都市モデルの作成・更新、土地利用の変化、交通量などを把握する技術を募る。テーマ2では、災害リスクの評価、異常検知、災害時の広域状況の把握、3D都市モデルと組み合わせた災害状況の可視化を対象にする。
各テーマの1位には2000万円、2位には1000万円、3位には500万円が交付され、賞金総額は最大8000万円である。2026年10月下旬から2027年5月下旬まではシステム開発とメンタリングを行い、2027年7月中旬のピッチコンテストで審査する予定だ。NEDOは受賞技術を集めて分析し、将来の共同研究や実用化につながる技術を見つけるとしている。国土交通省のPLATEAUは、3D都市モデルをオープンデータで提供している。
現地に行く場所を先に決める
衛星データと地上データを組み合わせ、実務で必要な精度と更新頻度を満たし、自治体の業務システムにつながれば、災害後の道路閉塞や浸水、復旧状況を地図上で更新し続けられる可能性がある。人口減少地域でも、人が全域を回り続けるのではなく、変化が検知された橋や河川、斜面へ点検を集中できる。
ただし、そのためには衛星が捉えにくい損傷を現地調査で補うこと、誤検知や見逃しが起きたときの責任を決めること、継続して運用できる費用に収めることが必要だ。今回の勝負は衛星の性能だけではない。現場の仕事を、どこまで実際に置き換えられるかにある。
出典 / Sources
NEDO「懸賞金総額最大8000万円『NEDO Challenge, Satellite Data -衛星データで革新する未来の都市インフラ-』の公募を開始しました」