2026年9月25日
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新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

ナフサ分解炉試験でNOx据え置き熱の85%をアンモニアに

AI が描いたイメージ

ナフサ分解炉の主要な熱をアンモニア100%でまかない、炉全体でも熱量の85%をアンモニアに置き換える試験に成功した。NOxは既存設備と同じ水準だったが、壁バーナや商用炉での安定運転、低炭素アンモニアの供給はこれからの課題である。

ナフサ分解炉は、石油化学コンビナートでエチレンやプロピレンを作る炉である。プラスチックや合成繊維の原料を生む一方、ナフサを高温で分解する熱を得るため、副生するオフガスを燃やし、燃焼由来のCO2を出してきた。

アンモニアに替えれば、燃焼時に炭素由来のCO2は出ない。ただし、アンモニアは燃え広がる速度が遅く、窒素を含むため燃焼条件によってNOx(窒素酸化物)も生じる。炉の温度を保ちながら、排出を増やさずに燃料を替えることが難しかった。

アンモニアを燃料にする難しさ

ナフサ分解炉は高温でナフサを分解し、プラスチックや合成繊維の原料となるエチレン、プロピレンなどを生産する。アンモニアは燃焼時に炭素由来のCO2を出さないが、窒素を含むため、燃焼条件によってNOxを生じる。さらに、アンモニアを作る水素や電力、熱が低炭素でなければ、製造時の排出は残る。化石由来のナフサを原料にすることによる排出も消えない。

図1 ナフサ分解炉概念図の画像
図1 ナフサ分解炉概念図 出典: アンモニア燃料によるナフサ分解炉運転で世界最高水準の混焼率85%を達成しました(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))

熱の大部分をアンモニアでまかなう

NEDOと4社は、ナフサ分解炉の床と壁にあるバーナ(燃料を燃やす装置)を開発した。試験炉では、主要な熱を担う床バーナをアンモニア100%で燃やした。一方、壁バーナではナフサ分解炉のオフガスであるメタンを100%使った。

それでも炉全体では、熱量を基準にアンモニア85%まで置き換えられた。NOx排出量は既存設備と同じ水準だった。発表主体は、2026年8月時点で、ナフサ分解炉を対象にした試験炉運転として世界最高水準の混焼率だとしている。つまり、分解炉の主要な熱源はアンモニアに替えられることが示された。ただし、壁バーナにはまだメタンが残っている。

図3 アンモニア燃焼火炎画像
図3 アンモニア燃焼火炎 出典: アンモニア燃料によるナフサ分解炉運転で世界最高水準の混焼率85%を達成しました(新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO))

工場の炉が変わるまで

この技術が商用規模で安定して動き、低炭素なアンモニアを継続して調達できれば、千葉の石油化学コンビナートで、シャンプーボトルや衣料用繊維の原料を作る炉をアンモニアで加熱できる。煙突から出る燃焼由来CO2を大きく減らせる可能性がある。既存の分解炉を全面的に造り替えずに済む選択肢にもなる。

その光景には条件がある。アンモニアを作る水素や電力、熱が低炭素でなければ、製造時の排出は残る。化石由来のナフサを原料にすることによる排出も消えない。NEDOと4社は今後、壁バーナにもアンモニアを使い、炉全体の100%専焼と商用規模炉での実証を目指すとしている。燃焼由来のCO2をさらに減らすには、壁バーナ、NOx管理、連続運転、そしてアンモニアの供給をそろえなければならない。

出典

国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構「アンモニア燃料によるナフサ分解炉運転で世界最高水準の混焼率85%を達成しました」